09.知って使おうアイヌ語―世界の言語復興の動きとつながる

09.知って使おうアイヌ語―世界の言語復興の動きとつながる

¥ 42,000 - ¥ 52,000
この講座では、アイヌ語をマオリ語の言語復興に用いられた「テ・アタランギ」という方式を用いて、実践的なかたちで(=イマージョン+後からの丁寧な解説の組み合わせで)身につけ、実際にアイヌ語で自己紹介ができるようになることを目指します。また、アイヌ語がどのような特徴をもつ言語なのかを理解することを目指し、丁寧に解説をします。後半では、節をつけて語られるアイヌ語の物語を、アイヌ語を理解しながら覚えて語って(うたって)みることに挑戦します。同時に、アイヌ語の「いま」を取り巻く様々な取り組みと、それが世界の言語復興の動きのなかにどのように位置づけられるかをゲストスピーカーの講義を通じて考えていきます。

●2022年6月~12月 
●全11回 
●金曜日19:00~21:00
●定員:20名

●開催形式:対面(PARC自由学校教室)またはオンライン(zoom)の選択制
※本講座は、PARC自由学校教室とオンライン、どちらの方法でもご参加いただけます。ご事情に応じて、受講方法を適宜切り替えていただくことも可能です。感染症の状況により、教室開催が困難な場合には、事態が収束するまでオンライン参加のみとする可能性があります。
※オンライン参加の方はなるべくカメラ・マイクをおつなぎください。

●受講料:42,000円
※初めて自由学校連続講座を受講される方は別途入学金10,000円が必要となります。

《申し込み方法》
下記にて【連続講座受講経験】を選択し「申し込みリストに追加する」ボタンを押した後、ページ右上のカートアイコンをクリックすると申し込み画面に進みます。

※講座の詳細は、お申し込み・入金まで完了された方に開講日2週間前頃になりましたらご案内いたします。
※当日参加が前提ですが、後日の録画共有も予定しています。ただし、講師の事情等によって録画の一部または全部の共有ができない場合もありますことをあらかじめご了承ください。
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●講師&コーディネーター

藤田 護(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部 専任講師)

○プロフィール:

ラテンアメリカのアンデス高地の先住民をめぐる研究をしていて、そこで先住民の言葉であるケチュア語やアイマラ語を学ぶ過程で、日本でもアイヌ語を学び、アイヌ語を現代の日常に回復しようとする動きに関わるようになりました。PARCでも以前にアイマラ語の講座を担当したことがあり、その後ケチュア語の神話を読むサークル活動として現在まで続いています。

○著作:

千葉大学アイヌ語研究会編『沼田武男「採訪帖」―アイヌ語十勝方言テキスト集』国立大学法人千葉大学 2021/藤田護「時代を超えて旅をするアイヌ語の書かれた言葉たち―知里幸恵、金成マツ、知里真志保、金田一京助」『K』(Knit-K発行 第1号 2021)/藤田護「その一瞬に死に、その一瞬を生きる――津島佑子『黄金の夢の歌』における英雄叙事詩・記憶・死者の追悼」『人文研究』第201号 神奈川大学人文学会 2020

○参考文献:

中川裕『ニューエクスプレスプラス アイヌ語』白水社 2021

○参考サイト:

国立アイヌ民族博物館 アイヌ語アーカイブ
アイヌ民族文化財団「アイヌ語動画講座」

 

●講座プログラム

6/10
オリエンテーション:互いの名前を聞き合う    

はじめに講座全体の説明をした上で、講師と参加者が自己紹介をして、アイヌ語の練習のしかたの説明をします。その上で、自己紹介の初歩として簡単な挨拶とお互いの名前を尋ね、答えることを学びます。

 

6/24
どこから来たのかを尋ねる(人称接辞1)
現代のアイヌ社会とアイデンティティの葛藤

アイヌ語ではどこから来たのかを尋ね、またどこに住んでいるのかを尋ね、それに答える言い方を学びます。アイヌ語の文法における「人称接辞」の役割において学びます。講座の後半では、現代のアイヌの人々をめぐる人種主義(レイシズム)や、「先住民族」という呼び名について考察します。

 

7/8
基本動作を示すアイヌ語の動詞(人称接辞2、動詞の単数形と複数形)
アイヌの展示のされ方をめぐる問題

アイヌ語では、基本的な動作を指す動詞を練習し、アイヌ語の動詞に単数形・複数形の違いがあるものがあることと、複数を示す人称接辞を学びます。講座の後半では、我々がアイヌ文化に接する入り口としての役割を果たす博物館の展示が、どのような力の交錯する場として成立しているかを考察します。

 

7/22
アイヌ語を日常生活に取り戻す動きの最先端で    
ゲスト講師:関根健司
(平取町教育委員会)

北海道の二風谷を中心にアイヌ語を取り戻す運動の中心的存在である関根健司さんから、この講座でも取り入れている「テ・アタランギ」と呼ばれる方法を導入した経緯やアイヌ語を身につけるために大切なことなどを話してもらい、質疑応答と議論をおこないます。

        
7/29
身体のパーツ(名詞の概念形と所属形)
アイヌ語の「いま」

アイヌ語を使って、自分の身体の様々な部位の言い方を学び、「OOが痛い」と言えるようになります。これを用いて名詞に概念形と所属形という二つの形があることを学びます。また、前回のゲストスピーカーによる講義を受けて、世界の様々な場所で進む「言語復興」という運動について理解し、アイヌ語の「いま」をめぐる課題を考察します。

 

10/7
バスク文学から見るバスク語復興    
ゲスト講師:金子奈美
(慶應義塾大学)    

スペイン側ではフランコ将軍の独裁期に使用を禁止され、話者数を大きく減らしたバスク語は、民主政に復帰後は学校教育を通じてバスク語を身につけた、いわゆる「ニュースピーカー」と呼ばれる者が生まれてきました。バスク語文学の日本語翻訳で受賞もされている金子奈美さんから、バスク文学にこの動きがどのように現れているかを話してもらいます。

 

10/21
カムイとは何か・アイヌ語の口承文学の概説
カムイユカㇻの暗唱(その1)

アイヌ語を学ぶ楽しみの一つは、アイヌ語で語られた様々な物語の世界に直接入っていくことができるようになることです。アイヌ語口承文学の主要なジャンルとその特徴を、実際に音声を聞いてもらいながら解説をします。またそこで鍵となる「カムイ」という概念をあらためてとりあげます。そして、日本語では「神謡」と呼ばれる北海道南部のカムイユカㇻと呼ばれる物語の一つを選び、内容を深く読み込みながら一部を暗唱することに挑戦します。
        

11/4
ニュージーランド先住民マオリの言語復興    
ゲスト講師:岡崎享恭
(近畿大学)    

いまアイヌ語で取り組まれている「テ・アタランギ」は、元々はマオリ(ニュージーランド)の人々が自らの言語を取り戻していく過程で生まれた方法です。この過程を追いかけてきて、アイヌ語への導入にも重要な役割を果たした岡崎さんから話を伺います。

 

11/18
アイヌ語の口承文学の語りと人称
カムイユカㇻの暗唱(その2)

アイヌ語の口承文学の多くのジャンルでは、日常会話とは異なる人称接辞を動詞につけます。これをどのように考えればいいのかという難しい問題に分け入ります。また、カムイユカㇻの読み込みと暗誦を続けます。

 

12/2
知里幸恵を振り返りながら(対談セッション)    
ゲストスピーカー予定調整中

アイヌ語を学ぶ者にとって知里幸恵、知里真志保、金成マツ、金成モナㇱノウㇰの一家は重要な存在であり続け、特に知里幸恵が遺した『アイヌ神謡集』は最も知られたアイヌ語の作品と言えるでしょう。ここでは、ゲストスピーカーを招いて、ご自身にとっての知里幸恵という存在やアイヌ語というものについて広く語っていただきます。

 

12/16
アイヌ語口承文学が示す歴史認識
カムイユカㇻの暗唱(その3)

アイヌ語の物語が読めるようになると、物語のおもしろさが味わえるだけでなく、これがアイヌ社会にとってどのような「知識」や「知恵」であったか、アイヌの人々のどのような歴史認識をそこに読み取ることができるかを考察できるようになります。また、カムイユカㇻの読み込みと暗誦を続けます。        

 

★オプション企画(予定)

平取町二風谷での短期合宿も企画中!

※コロナの状況を見て可能であれば開催します。詳細が決まりましたら、PARC自由学校ウェブサイトや本講座内でご案内します。