●講師:
嶋 崇(経済学研究家/編集者)

○プロフィール:
元・主婦の友社雑誌編集長。古典派経済学、特にマルクス経済学を中心として現在の経済・社会問題の分析を行う。
○主著:
『いまこそ「資本論」』朝日新聞出版 2008
●テキスト:
ミヒャエル・エンデ作, 大島かおり訳『モモ』 岩波書店 2005
(※テキストは事前に各自でご購入ください。)

●講座の進め方:
初回オリエンテーションの後、各回の範囲を読み進めていきます。毎回の発表者を事前に決め、発表を行っていただき、その後、講師からコメント・解説をいただく予定です。毎回、グループディスカッション時間や質疑応答の時間もそれぞれ取ります。
●講座スケジュール
8/1
プロローグ:拡大する現代の矛盾を予言した『モモ』―あなたは『モモ』を読んで何を感じましたか?
様々な読み方ができる『モモ』。まずは『モモ』を読んで何を感じたかをフリーディスカッションしてみましょう。
8/29
エンデが「金融経済」を最期まで危惧した理由
ゲスト講師:河邑厚徳(映画監督/元NHKプロデューサー)
岸田首相は「新しい資本主義」をとなえ、富の再分配を訴えているが、明確な方法論に欠けキャッチフレーズのようで、それ自体に強い反対が出来ない空気の支配である。ミヒャエル・エンデはお金の問題を時間の戦争に例えて、分断と支配が政治だけでなくお金の仕組みに組み込まれた必然だと説いた。もう一度エンデの言葉に耳を傾けたい。
●主著:
『エンデの遺言~根源からお金を問うこと~』NHK出版・講談社α文庫 2000
『むのたけじ 笑う101歳』平凡社新書 2017

9/12
お金・貯蓄・投資がはらむ危険性―時間をためるってどういうこと?時間貯蓄”銀行”とお金の関係を探る
街にやってきた灰色の男は、人々に時間貯蓄銀行に時間を貯蓄するよう勧めます。ただ、時間には「貯められる時間」と「貯められない時間」があるようです。その違いは何かを考えていきましょう。どうも「貯められる時間」は「お金」と関係がありそうです。
10/3
不機嫌で不寛容な現代の資本主義―時間をためることで忙しく不機嫌になる居酒屋主人ニノ
灰色の男の誘いに乗り、ゆたかになるために時間を貯蓄した人たちは、なぜか不機嫌になっていきます。お店を大きくして成功に向かっているはずのニノを例に、モノがあふれても不機嫌で不寛容になる現代の資本主義の謎を解き明かしましょう。
10/24
過酷な働き方は何のため、誰のためか―自分の秘書に「奴隷監督!」と叫ぶジジから隠された事実を紐解く
ジジも灰色の男にそそのかされた一人です。そのおかげでテレビやラジオで引っ張りだこの有名人になれたのですが、ジジは秘書を「この奴隷監督!」となじります。過酷な働き方を強いられる現代の私たちも、誰かの奴隷になっているのかもしれません。
11/14
働く若者はなぜ使い捨てにされるのか―「人間なんていらないものになっている」と叫ぶ灰色の男の本心
灰色の男はモモに対し「人間なんてもうとっくにいらない生きものになっている」と告げました。灰色の男が時間を奪おうとしている人間がいらない生きものになっている?働く若者が現代では使い捨てにされる理由が見えてくるかもしれません。
12/5
「お金」と「ゆたかさ」の関係を根本から問い直す―モモが取り戻した時間とは?みんなに戻った本当のゆたかさとは?
モモの活躍で灰色の男は消え、時間とゆたかな生活が戻りました。灰色の男は消える前に「これでいいんだ」と言いました。灰色の男=現代の矛盾を作り出したのは私たちかもしれません。それはなぜか?「お金」と「ゆたかさ」の関係から考えてみましょう。
12/19
エンデからのメッセージで見つめ直す私たちの社会
ゲスト講師:堀内美江(ドイツ文学者/童話館エンデ資料室監修者)
エンデが私たちに語りかけるものとは。解説いただきつつ今の私たちの社会を振り返ります。